注染(ちゅうせん)とは、形紙で防染し折り重ねた反物に染料を注ぎ、図柄や模様を染色する技法です。
明治末より発祥し、百年以上の歴史をもつ伝統的染色技法です。
晒工場より入った生地を均染浸透剤を加えた水で洗い、脱水の後乾燥させることで、生地の浸透および均染性をよくします。
反物の上に形紙を置き、防染糊をつけて糊付を行います。
形紙の長さは90~100㎝ほどで、糊をつけた反物を形紙の長さに折り重ね、再度糊付けを行い、一反の反物を糊付けしながら蛇腹状に折りたたみます。
折り畳みながら糊付けされた反物は広げると90~100㎝ほどで柄が繰り返されることになります。
糊のついたところは上から染料をかけてもその部分が染まらないため、糊の無い部分が柄として染色されます。
糊付された反物を台の上にのせ染料をジョウロで注いで染めます。
台の下から空気を抜くことで、染料を下まで浸透させ柄の部分を染め上げます。
糊付けは折り重ねるときにシワがよらない様折口等とても注意しますが、この注染の仕事もただジョウロで染料を注ぐだけではきれいに柄が染められず、染料の特性を熟知し、そそぐ量や浸透させるタイミング等熟練の知識が必要になります。
染料を十分に注いで染め上った反物は水洗い場に運ばれます。
水で何度も洗ううちに防染部分についている糊が落ち、生地の色が出て、柄の部分も余分な染料が洗われ柄が浮き出すようにきれいになります。
水洗い場は川のような細長いプールで、豊富な水量を使い水洗いします。
水で洗ってきれいになった反物を脱水したのち、干場に広げて乾燥させます。
空気に当てて乾燥させることで、染料の色はますます美しくなり、布地に定着します。